「コントロールできることに一点集中」の実践法【第2部】

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【第2部】見分ける技術と日常での実践法

[シリーズ進行状況]
第1部:理解(完了) → 第2部:実践(◀今ここ)第3部:応用

[前回のまとめ]
コントロールできないことに囚われると不平不満・作業停滞・無駄な行動・ストレス増大の悪循環に。一方、コントロールできることに集中すると精神安定・客観視・建設的行動の好循環が生まれます。まずはメンタル安定が最優先という順序が重要でした。


前回は「コントロールできることとできないことを区別する重要性」について、体感レベルでの違いをお伝えしました。読者の皆さまの中にも「確かに囚われている時と集中できている時で全然違う」という共感を頂けた方もいらっしゃったのではないでしょうか。

ただし、多くの方が感じるのは「分かってはいるけれど、実際の場面でどう判断すればいいのか迷う」ということではないでしょうか。私も同じでした。本やメモを見直した直後は冷静になれるけれど、日常の渦中にいるとまた忘れてしまう。つまり一種の「リマインダー依存」になってしまうのです。

今回は、この判断を瞬間的な気づきに頼らず、日常で確実に実践できる具体的な方法をお話しします。

なぜ「見分け方」を身につける必要があるのか

まず、なぜ単純に「コントロールできないことは考えない」だけでは不十分なのでしょうか。

[見分ける技術が必要な理由]

■ 曖昧さが残ると余計に悩む
「これは自分で変えられる?それとも無理?」という境界が曖昧なままだと、気づいたつもりでもまたモヤモヤしてしまいます。グレーゾーンこそが一番悩ましく、エネルギーを消耗する原因になります。

■ 完璧に分けようとすると疲れる
逆に、すべてを白黒はっきりさせようとすると、判断すること自体がストレスになってしまいます。

■ 日常の中で忘れてしまう
冷静な時は理解できても、忙しい時や感情的になった時に思い出すのは困難です。

そこで必要なのが、シンプルで実用的な「見分ける技術」です。

3つの輪で整理する:関心・影響・制御

スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』で紹介されている考え方を、日常で使いやすくアレンジしてみましょう。

[3つの輪による整理]

【関心の輪】気になるけど変えられない
・会社の業績や方針、人事異動
・業界全体のトレンド
・上司や同僚、顧客の反応
・天気や交通渋滞

【影響の輪】自分の行動で影響を与えられる
・上司への提案の仕方
・チームメンバーとの関係構築
・自分のスキルアップ
・情報収集と準備

【制御の輪】自分が完全に決められる
・今日のタスクの優先順位
・勉強時間の確保
・健康管理
・どの情報を取り入れるか

この3層構造で考えると、単純な「できる/できない」ではなく、グラデーション的に整理できます。迷った時は「影響の輪」から始めて、少しずつ「制御の輪」を広げていく感覚で取り組むと現実的です。

日常で使える4つの実践法

【実践法1】問いを立てる習慣

まずは基本となる問いかけを習慣化します。

「これは自分が直接行動して変えられるか?」

この問いを1日に何度か自分に投げかけてみてください。特に、イライラした時やモヤモヤした時が絶好のタイミングです。

変えられないことなら、一旦その思考を止める。変えられることなら、具体的に何ができるかを考える。このシンプルな分岐だけでも、思考の無駄ループを防ぐ効果があります。

【実践法2】紙に書き出す整理術

頭の中だけだと混線するので、物理的に書き出すことをお勧めします。

■ 基本のやり方
紙を半分に分けて、左側に「できること」、右側に「できないこと」を書き出していきます。

■ 整理の効果
これだけで頭の中がスッキリし、何に集中すべきかが明確になります。私の場合、この整理をしている過程自体でメンタルが安定することが多いです。部屋の片付けに似た感覚で、外に出すことで思考のスペースが確保される感じがします。

【実践法3】「無視リスト」の活用

「できないこと」に分類したものは、別途「無視リスト」として管理します。

[無視リストの例]
・来月の組織改編の行方
・新システムの使いにくさ
・他部署の進め方への不満
・同僚の仕事への取り組み方
・業界全体の将来性

完全に忘れるのではなく、「これらについては今は考えない」という意識的な決断をしたことを記録に残すのです。リストにすることで、「無視している」ことを「無視」できるようになります。

これらを書き出すことで、頭の中から追い出し、無駄なループを防げます。

【実践法4】時間ブロックで着手を強制する

「できること」リストができても、実際に行動に移すのは別の話です。特に大きなタスクや考える必要があるものは後回しになりがちです。

■ 時間ブロックの設定
カレンダーに「資料作成:2時間」のように具体的に時間を確保し、無理矢理でも着手する仕組みを作ります。

■ 小タスクを先に処理
小さなタスクが残っていると頭がそちらに引っ張られるので、まず15分程度で片付けられるものを処理してから、集中が必要なものに取り組むのがコツです。

今日・今やれることに意識を向ける

過去や未来もコントロールできないことです。

[意識の向け方]

■ 過去・未来に囚われそうになった時
以前自分が整理したメモを見返すことをお勧めします。それだけで心が落ち着き、「今日できること」に意識を戻すきっかけになります。

■ 腹落ちレベルで納得する
私自身、過去や未来に意識が向きがちな時は、「これは今考えても意味がない」と腹落ちレベルで納得することが重要だと感じています。

■ 整理過程の価値
その際、整理される過程自体がメンタル安定に寄与します。

実体験例: 過去の失敗や未来の不安に囚われそうになったら、以前自分が整理したメモを見返す。それだけで心が落ち着き、行動に集中できる瞬間が生まれる

TODOリストは「過程」にも価値がある

タスクやTODOを可視化することの本当の価値は、完成したリストを眺めることではありません。整理している過程で頭の中の雑念が消えていくことです。

[TODOリスト活用のコツ]

■ 情報整理の重要性
情報整理ができていない時ほど、手当たり次第に対応しようとしてしまいます。しかし一度リストアップして優先順位をつけることで、「今やるべきこと」が明確になり、余計な迷いが減ります。

■ 長期タスクへの対処
長期間にわたるタスクは特に後回しになりがちですが、時間をブロックして着手することで、意外にスムーズに進むことが多いです。

実践例: TODOリストは完成形を眺めるだけでなく、整理している過程で頭の中の雑念が消えていく。大きなタスクは時間をブロックして無理矢理でも着手することがポイント

実践のハードルを下げるコツ

[継続しやすくする工夫]

■ 完璧を求めない
「まずは白黒でざっくり分けて、後から見直す」で十分です。完璧に分けようとすると、分類すること自体がストレスになってしまいます。

■ 時間制限を設ける
「これについては10分考える。それ以上は”できない”に分類する」と決めてしまいます。考える時間にも制限を設けることで、無駄な悩みを防げます。

■ 小さく始める
いきなりすべての悩みを整理しようとせず、今一番気になっていることから始めてみてください。成功体験を積むことで、習慣として定着しやすくなります。

明日から試せる具体的アクション

この記事を読んだら、以下のステップを試してみてください:


[実践ステップ]

ステップ1: 今抱えている悩みを一つ選ぶ

ステップ2: 紙を半分に分けて「できること」「できないこと」に分類

ステップ3: 「できること」から一番小さな行動を一つ選んで実行

ステップ4: 「できないこと」は「無視リスト」に記録して一旦忘れる


たったこれだけですが、頭の中の整理ができ、行動への第一歩が踏み出せるはずです。

次回の最終回では、特に多くの人が悩む「他人の評価」について詳しく取り上げます。他人の意見に振り回されない心の持ち方と、それを自分の成長に活かす方法についてお話しします。


[シリーズ『コントロールできることに一点集中』の実践法]
第1部: なぜコントロールできないことに囚われてしまうのか?
第2部: 見分ける技術と日常での実践法(この記事)
第3部: 他人の評価に振り回されない心の持ち方(次回・最終回)

Photo by Alex Samuels (@alexsamuels) on Unsplash

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