業務改善で効率化したのに損?|30代会社員が学んだ「職場の現実」

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業務改善をしても自分だけ楽にならない理由

「業務改善をしたのに、なぜか自分だけ楽にならない」

そんな経験、ありませんか?

私は専門的な知識が求められる業界で働いています。数年前まで担当していた業務は、基本的な知識や手順だけでなく、長年の経験や感覚も求められる、なかなか厄介なものでした。

当時はマニュアルもなく、分からないことがあれば先輩に聞くか、過去案件を調べるしかない。ミスのリスクも高く、精神的にもきつい仕事でした。


自作チェックリストで生まれた大きな変化

私は、自分の経験やヒヤリとした瞬間、振り返って重要だと感じた要素をすべて盛り込んだチェックリストを自作しました。

基本項目は30項目、状況別の細分化ポイントを加えると100を超える内容です。

これによって、新任担当者が「何を、どの順番で」進めるべきかが一目で分かるようになりました。複数案件を同時進行しても、従来1.5ヶ月かかっていた業務が1ヶ月程度で完了。引き継ぎや育成も格段にスピードアップしました。

  • 同僚から感謝される
  • 上司から評価される

「これで自分も楽になるな」——そう思っていました。


効率化の“副作用”:人員削減という現実

しかし結果は逆でした。

「効率化されたから、もう人数はいらないよね」という判断が下されたのです。

5人いた担当者は3人に減らされ、私は引き続き同じ業務を抱えたまま。他の仕事まで増え、むしろ以前より忙しくなりました。

感謝されても状況は変わらず、胸の中に虚しさと無力感が広がりました。

「なぜ、頑張った人が損をするんだろう?」


原因は“単純作業化できない仕事”

私の業界では、長期的な信頼関係や過去の取引実績が重要です。さらに案件ごとに異なる条件、頻繁に変わる法令や制度、取引先ごとの特殊な慣習…。

これらは完全にマニュアル化できません。どこまでいっても担当者の経験や判断力が不可欠です。

つまり、業務改善で効率化はできても、「誰でもできる作業」にまでは落とし込めないのです。

それでも経営側は「効率化=人員削減」と結びつけやすく、結果的に改善に取り組んだ人ほど損をする構図が生まれます。


学んだこと:「改善は必ずしも自分を救わない」

この経験から痛感したのは、業務改善=自分の負担減ではないということです。

むしろ「改善 → 人員削減 → 負担増」という逆効果もあり得ます。

それでも私が改善をやめなかったのは、こんな理由からです。

  • 仕事が見える化され、整理されていく
  • 同じミスを繰り返さない仕組みができる
  • 「前の自分より今の自分の方が働きやすい」という実感

これらは、目には見えないけれど確かな報酬です。


自分を守りながら改善を続けるための戦略

1. 改善の優先順位を“自分目線”にする

まずは自分の働きやすさを最優先し、組織全体への共有は段階的に行う。

2. 効果を“時間短縮”以外でも示す

品質向上やリスク軽減など、人員削減の理由にされにくい指標を加える。

3. 共有はタイミングを見極める

自分が十分に使いこなしてから段階的に展開する。

4. 完璧よりも“使える”ツールを作る

全社マニュアルではなく、自分やチームがすぐ使える形を優先する。


もしあなたも「頑張ったのに報われない」と感じたら

それは、あなたの能力や努力のせいではありません。

多くの場合、それは組織構造の問題です。

それでも、自分を守りながら改善を続ける方法はあります。

善意だけでは生き抜けない現実を受け入れつつ、自分なりの改善を積み重ねること。

それが、長期的なキャリアの安定にもつながります。

Photo by Getty Images on Unsplash

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